いつかは行きたかった登山道の中でも最難関とされる岩綾縦走、「西穂高岳から槍ヶ岳」。いくつもの難所と対峙しながら自分の持つ技量を最大限に活かし攻略していくスリルのあるコース。
率直にな感想としては最低限のクサリやハシゴが整備されているのでクライミングの基本技術があれば滑落はないと感じました。目印も多く岩場ルートの回答が明確に表示されています。逆にルート上の浮石・足を引っ掛けそうな岩などでつまづいてからの転倒・滑落の危険を常に感じながら歩いていました。
当初は5日間の予定でルートを組んでいて槍ヶ岳登頂後、双六経由で笠ヶ岳→新穂高ロープウェイに降りる予定でした。台風19号の進路次第では中止をしようと決めていたのですがどんどん西にそれていく予報に変わったので取り敢えず現地で判断する事に。
例え雨が降らないとしても次に気になるのは風でした。風速10m前後の予定だったので吹き飛ばされる心配はないと思いましたが3,000m付近の状況は行ってみないと何とも言えません。最終的には西穂高岳の山頂で判断しようという事になりました。
DAY1
新穂高ロープウェイ→西穂高口駅→西穂山荘
この日が3日間の中で最も気楽な1日。14時には山荘に到着してまずはテント設営の準備。昼間っから景気付けにビールで乾杯してその後涼しい風が吹くなかで昼寝をしたんですが、寝てる間に晴れてきて強い日差しと共にテント内がサウナ状態に。うなされながら眼が覚めると身体は汗ダク、頭はクラクラ危うく熱中症になるところでした。
鉄板のラーメン。
その後準備運動がてら夕焼けを見に丸山まで行くつもりでしたがガスの状況が酷く断念。
夜になると雲の隙間が見えたので再度丸山まで星空を見に登ったんですが景色は全然見えず。この時点では天候が好天するのかどうかの判断は非常に難しい所でした。(気持ち的には半々)
DAY2
2日目のスタートは午前3時出発予定。
2時起床。中途半端な昼寝と天候の不安であまり寝つきも良くなく体調は優れず。
しかしテントから出てみるとそこには満点の星空が。「これはいける!」と思い気分が高揚した。前日に買ったおにぎりを2個完食。少し眠いがモチベーションは高い。
予定通りまずは西穂の山頂を目指し出発。
AM3:10 丸山。
夜空の星から街の灯りまで綺麗に見渡せ気持ちよく登れたのは独標手前までで2,600m付近でガスの中に。
霧雨くらいの状況で岩場が濡れている感じ。ソールのフリクションがしっかり効いているか確認しながら歩く。この時点で後方からヘッドライトが見える。どうやら単独のようだ。
ガスト霧雨と真っ暗な中、山頂までの間に細かいピークを何個も超えていく。見える部分が限られるので目の前の岩に対しての集中力がハンパない。自然と気持ちが乗ってくるような状況でした。
眠いのは眠いのだが・・・
AM5:00山頂。
到着したのはAM5:00ごろ。うっすら明るくなりヘッデンなしでも見渡せる状況になりましたが辺り一面真っ白。風は微風。
後から来られた単独の方と山頂で一緒になり先を見ながら会話を交わす。「この風なら行けそうですね。足元ちょっと滑りやすいかもですが。」
判断するには難しい状況でしたが現状からさらに悪くなるなら引き返す覚悟で前進する事に。※この時点でヘルメット装着。
単独の方は15Lほどのザックでスピードハイクされていたので先に行ってもらいました。
まずは西穂高岳からの下り。
クサリと印はしっかりあります。あくまで補助的に使用です。
頭上の白い◯と昔の黄色い◯が。
行ってはいけない方へは✕が。
P1からの下り。
赤岩岳からの下り。
ガスのおかげもあって高度感ゼロで恐怖感はなかったです。下りにとにかく気を使います。足の置く位置をしっかり確かめながら三点支持の基本を忘れずセーフティーに。
間ノ岳?
ルート上の要所にはクサリが必ず設置してあるので安心です。※補助的なモノはほとんどないと思っていたので凄く整備されていると感じたくらいです。
逆層スラブ。
ここで大失態。詳しくは店頭まで。
AM6:40 天狗ノ頭。
そして次の尾根へ向かう。
天狗のコルに降りる最後の下り。
AM7:15 天狗のコル。状況悪い中ですがペース良く来れました。
ここまで対向者とすれ違うことはなかった。先行していた方も途中で引き返して撤退を決めておられました。←古靴でフリクションが効かなくて危険を感じたそうです。
ここで小休止。
行動食を補給。短い距離ですがアップダウンが多く身体全体を使うので思った以上に消費が多くお腹が減りやすかったです。
ここで岳沢小屋方面と反対側の沢の200m下方に赤い物体を発見。
目視で見えるので結構な大きさである。声をかけても反応はないので穂高岳山荘で報告することに。
ここから登りが増えて、畳岩尾根ノ頭、コブ尾根ノ頭を越えて行くのですが悪天候で風が出てきたのであまり写真が撮れていません。
畳岩尾根ノ頭付近で初めて奥穂側からの登山者と出会う。
ジャンダルムの取り付きに着くとすぐにザックをデポして登ることに。
AM8:35 ジャンダルム。
デポした地点から10分かからないくらいで天使の待つ山頂へ到着。北アルプスの憲兵(門番)とあって簡単には景色を望ましてもらえませんでしたが天候も悪化する事なく無事たどり着くことができました。
今回のバディであるOKA MOUNTAINに感謝です。ガスってましたが楽しく登ることができました。
ここで奥穂側からピストンで来られた方2名と出会う。
残る難所はロバの耳と馬ノ背です。再度気を引き締め直して進みます。
鞍部からいきなりクサリなんですが、ボルトも設置してくれてあるので簡単に登れます。
ロバの耳付近のトラバース。
写真で見ると怖そうですがクサリも設置されてあるので問題なし。
そして下り。
晴れていたらどんな高度感を感じるのかまた行きたくなりますね。
おっ。
前方に見えるのはひょっとして・・・
これが馬ノ背!
こっちから見ると凄く痩せた尾根に見える。
ガスってても流石に怖いんだろうな〜と不安でしたが・・・
がしかし!登りでガスってたので高度感を感じないし、クラックが多いので何かしら手がかり足かがりがあってむしろめっちゃ楽しかった。
岩と私。
馬ノ背頂上付近。
ちょうどいい座れる石がいっぱいあったので少し休憩。
左上に霞んで見えてきたのが奥穂高岳かな。
AM9:40 奥穂高岳。
悪天候の中無事たどり着けました。
景色が見えず残念ですが、達成感はめっちゃあります。
予定の時間よりも早めに行動できているので穂高岳山荘で次工程の作戦会議をする事にして早々に山頂をあとにしました。
AM10:00 穂高岳山荘。
到着してから雨が降り出す。
濡れた衣類を乾かしつつ昼食を注文。
時間的にも10:00からランチ営業だったのでナイスタイミング!
それにしても山荘のカレーってなんて美味しいんだ!!
と感動しつつあっさり完食。ちょっと昼寝でも・・・とテーブルで目を閉じて瞑想。ついさっきまで岩と格闘してアドレナリン全開なので寝れる訳もないんですが・・・
1時間ほどゆっくりした後、次は北穂高岳を目指して出発です。
大腿筋に少し張りが感じられますが芍薬甘草湯のツムラ68番をお守りとして持参しているので心強い。←トレランの大会でしょっちゅうお世話になっております。
AM11:40 涸沢岳。
山荘から20分程度で来れるお手軽な山。ここから過酷な激下りが始まるという事実をまだ知らない2人。
ジャンダルムよりこっちの方が核心じゃないのって言いたい気持ちになる激下りですね。
鞍部までずっと激下り。
ガスが晴れてきて涸沢が見える。
1時間下りっぱなしは神経を使うのでなかなか疲れる。
途中から景色が見え出したのがせめてもの救いでした。
PM12:40 最低鞍部。
ペースは順調そして景色で癒される。何とも言えない贅沢な気分。
こちら奥壁バンドを越えていく。
そしてドームを過ぎると・・・
PM1:40 北穂分岐
難所を終えて自分達が辿ったルートのおさらいしながら北穂高山頂を目指します。
ジャンダルムよりこっちの方が怖かったねーなどとあーだこーだ言いながら。
山の全容が見渡せるから恐怖感が出るのかどうかは次回、晴天のジャンダルを歩くしかわからないw
PM1:50 北穂高岳山頂。
山頂直下に山荘があるのでこの日は甘えて小屋泊に変更しました。
目の前の常念岳がガスで見え隠れ。
ここまでずっとガスガスの中歩いてきたので少しでも景色が見えた時の感動はそれはそれは格別です。
夕焼けの時間になると槍が姿を表し、
槍とアーベントロート。
蝶ヶ岳方面。
最高の夕焼けです。
奥穂高岳方面。
あそこを歩いてきたかと思うと感慨深いですね。
久しぶりに山小屋に泊まりましたが北穂高岳山荘は雰囲気があってとても落ち着く場所でした。
素泊まりなので食事は外で景色を見ながらビバーグレーション。夜は食堂の居酒屋メニューで一杯。梅酒やワインとチーズで大人な時間を。
小腹が減ったのでインスタントラーメンで〆ました。
さあ、明日は大キレット、槍ヶ岳からの下山予定!。
次ブログへ続く・・・
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